【カナザワ女子@食レポ部】金沢の七月一日は「氷室」の日。有名菓子どころ五店の氷室饅頭を食べ比べてみた!

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金沢では毎年七月一日、お気に入りの和菓子店で「氷室饅頭」を買い求め、親戚や友人知人に贈りあい、ともに食して夏の無病息災を祈願する風習があります。

これが不思議なことに金沢では知らぬ人のいない、金沢以外では知ってる人の方が珍しい、完全地域限定イベント。

六月下旬から七月一日当日までの一週間ほど、市内ほぼすべての和菓子屋をはじめ、スーパー、コンビニの店頭に氷室饅頭が並びます。

 

今回の「カナザワ女子@食レポ部」では、この当地限定・短期間限定品にあえて挑戦。

厳選した五店の和菓子店から氷室饅頭を持ち寄って、味や風味の違いを実際に食べながら品評してみました。

「皮と餡子でできている饅頭に、そんなに違いなんかないでしょう」

と、舐めてかかったら大間違い!

それぞれの有名菓子店が、伝統製法に独自のこだわりを加えて、個性際立つ「この店の味」を作り上げていたのでした。

目次

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金沢以外では意外に知られていない、氷室饅頭って何?

江戸時代の氷室開きに由来する、金沢独自の風習

藩政時代から金沢では、七月一日(旧暦六月一日)は「氷室の朔日(ついたち)」。

冬に積もった雪氷を、貯蔵しておいた氷室を開いて切り出し、江戸の将軍家に献上品として送り出す「氷室開き」が執り行われてきました。

その道中の無事を祈願して、神仏に奉納したのが氷室饅頭の起源。

 

この儀式は藩下の領民の間にも広まり、大切なものの無事を祈る「氷室の朔日」の奉納は、加賀の人々にとっては欠かせない季節行事になりました。

この時期に収穫される麦でついた麦餅を神仏に備え、家族・親族で食し、夏の間の無病息災を祈る風習。麦餅はやがて餡子を入れた麦饅頭になり、現在の氷室饅頭の形になったといわれています。

冷蔵庫の発達とともに氷室が役割を終えた後も、氷室饅頭を送りあう慣習は今も金沢に残っているのです。

不思議なことにこの氷室饅頭、金沢以外ではほとんど知られていません。

それなのに金沢でだけ、当たり前のようにこの時期になると、全菓子店一斉に氷室饅頭が店頭に並ぶのです。

まるで十二月にクリスマスケーキが、洋菓子屋をはじめスーパー、コンビニなどすべての店頭に一斉に並ぶように。

金沢人にとっては当たり前すぎて、中にはこれが自分たち独自の風習だということにさえ気づいていない人がいるほどです。

一口に氷室饅頭といっても、種類はいろいろ

氷室饅頭は、大きく分けて麦饅頭と酒饅頭に分かれます。

麦饅頭は、ふんわりふっくらした皮が特徴。

対する酒饅頭は、ほのかに酒粕の香りがするしっとりとした皮に仕上がっています。

 

皮の色は基本三色。「赤(桃色)」「あお(緑)」「白」で、各色の意味は諸説ありますが、どれも信憑性は乏しいようです。

おそらく当初は白のみだったのが、後から色が加わり、そこに意味がつけられたのではないかといわれています。

店によっては、皮の色によって「こし餡」「つぶ餡」「白餡」と、中身が違うものもあります。

また、三色に黒や黄を加え、餡や色素に新たな食材を使用している菓子店もあります。

今回エントリーしたのは、金沢市民にはおなじみの、有名菓子どころ五店の氷室饅頭。

実はテーマが「氷室饅頭」に決まったとき、「カナザワ女子@食レポ部」の中では

「氷室饅頭を店ごとに比べて、食レポと写真で違いを伝えることができるのかな」

という不安の声もありました。

でも、実際に持ち寄ってみてびっくり!

 

並べて比べると、味も見た目も店ごとにはっきりと、個性が際立っていることがわかります。

その結果、「どれがおいしいか」ではなく、「どれが好みか」という食べ比べになったのでした。

酒の風味たっぷりの皮と、なめらかな餡のくちどけ「森八」

上生菓子に引き続いて、金沢を代表する菓子どころの一つ「森八」からエントリー。

五つの中ではいちばん小さい直径5.5センチ。その分少しかさ高で、高さは3.5センチでした。

手のひらに収まる小ぶりサイズながら、持ってみると意外に重くて、ずっしりとした存在感を放っています。

こちらの氷室饅頭は、オーソドックスに赤・白・緑の三色で、餡はどれも同じこし餡です。

重さからも想像できるとおり、中の餡がみっちりと詰まっていて、二つに切ると、まるで羊羹のようになめらかな断面が現れます。

しっとりした軽めの皮と、小豆の雑味を感じさせないなめらかでほどよく甘みを抑えたこし餡。

その両方が合わさって、最後に残る薫り高い日本酒の風味。

今回食べた中では、いちばん日本酒の香りを残した、「ザ・酒饅頭」でした。

そして、全員の感想として

「餡がなめらかで軽やか」

「餡に森八の進化を感じる」

という声が…。森八の氷室饅頭は、加賀藩前田家の御用菓匠にさかのぼる老舗和菓子店の、現在と未来への意思を伝える味でした。

 

三種のあんが味わえる「金沢うら田」

金沢らしい品格と愛らしさが感じられる和菓子が人気の金沢うら田。

氷室まんじゅうにもやはりうら田らしさが出ている。

今回の食べ比べの中でも、大きさもやや小ぶりで色も可愛らしい明るめのピンク、グリーン。

 

氷室まんじゅうは、お店によってお酒を使っていない普通のまんじゅうだったりするが、うら田の氷室まんじゅうは酒種(さかだね・日本酒を作る時の酵母)を使った酒まんじゅうだ。

お酒の風味は、ほんのり感じる程度でお酒が苦手な人や子供でも食べやすい。

 

今回のがるこね食レポ部の食べ比べでは、

  • 子供の頃から食べている味
  • 正統派の酒まんじゅう
  • 酒かすのような(実際には酒種)香りが鼻から抜ける

という意見が多かった。

うら田の氷室まんじゅうは、ピンクが黒つぶあん、白が黒こしあん、グリーンが白こしあんと3種のあんが味わえる。

どのあんもそれぞれにおいしかったが、個人的にはピンクの黒つぶあんがほんのり塩味を感じる皮と相性抜群でおすすめだ。

皮はもっちり薄めで、たっぷり入った上品な甘さのあんが口の中いっぱいに広がる。

食べやすいので、ついつい2~3個手が伸びてしまう。

7月1日の氷室開きの日は、金沢うら田の氷室まんじゅう3種をぜひともご賞味あれ!

 

  • 大きさ:直径6.0センチ、高さ2.8センチ
  • 1個:141円(税込)
  • お店のwebサイト:https://www.urata-k.co.jp/

5色のカラフルな氷室饅頭が楽しめる能美市寺井の和洋菓子タカギ

5色のまるでゴレンジャーのような色とりどりの氷室饅頭を出しているお店は、能美市にある和洋菓子たかぎ。

おそらく、手取フィッシュランドの横にある、「イルグラーノたかぎ」と言った方がわかる人は多いでしょう。

カフェも併設していてパスタも食べれるし、洋菓子もあるので、もしかしたら和菓子のイメージはあまりないかもしれません。

 

でも!

実は「たかぎ」さんはなんと創業大正3年という100年以上の歴史を持つ老舗なのですよ!

 

今回の食べ比べでは、たかぎの氷室饅頭だけが「氷室」の焼き印がありました。

てっきりどこの氷室饅頭もそうかと思ったら、やっぱり違うものなんですねぇ。

 

あんこが瑞々しくて、甘さ控えめでペロッっと食べれちゃいます。

皮はしっとりフワフワと柔らかい。

 

そして何と言っても「5色」の氷室饅頭がワクワクしますね。

  • 白・緑(よもぎ)…粒あん栗入り
  • 赤…こしあん
  • 黒…沖縄黒糖使用
  • 黄…かぼちゃ餡

とそれぞれの味の違いも楽しめます。

お近くにお越しの際は是非。

 

ふわっふわの皮がオンナ心をくすぐる「樫田堂」の氷室まんじゅう

食べ比べた5店舗の中で皮のふっくら感はダントツのナンバーワン!

手に乗せたときになぜか幸福感が味わえるのが樫田堂の氷室まんじゅうだ。

中は甘さ控えめのこしあんで、全体的にあっさりと食べられる印象。仕込みに使う日本酒の香りはほのかで柔らかく、普段のおやつにもぴったりという印象。

こぢんまりとした店ながら、遠方からも客が訪れる人気店だったが、店が面しているのが狭い道であること、車を駐める場所がないのが難点だった。

2018年に金石通り町から金石東に移転して、駐車場も店舗敷地に6台あるのがうれしい\(^O^)/

 

樫田堂の氷室まんじゅうは、6月下旬から氷室の日までの期間は「氷室まんじゅう」として販売されているが、「酒まんじゅう」の名前で通年食べられるので、この時期を逃した人も安心して樫田堂を訪れて♡

内灘町旭ヶ丘にも店舗あり。

 

  • 大きさ:直径7.0センチ、高さ2.4センチ
  • 1個:140円(税込)
  • 住所:金沢市金石東1-4-7
  • 電話:076-267-2464

創業100年を超える老舗「みや川菓子舗」

金沢駅から徒歩10分。昔ながらの和菓子屋さん。

別院通りにある昭和感たっぷりのお店です。

 

老舗のお店ならではの、金沢の伝統・氷室饅頭をぜひ食べてほしい。

 

今回の食べ比べでは1番大きいサイズでした。

大きくてふわっとした感じはすごくお得感がある感じ♪

 

色は3色。

  • ピンク

中身は緑はつぶあんだけど、白とピンクはこしあんです。

 

皮は蒸しパンのようにしっかりして、弾力がある。

あんはちょっと塩気があって、懐かしい感じの味。

大きくて皮もしっかりしているので1個で十分お腹が満たしてくれます。

こしあんも美味しいんだけど、この皮にはつぶあんがピッタリ!

是非、みどりの氷室饅頭を食べてほしい!

 

老舗の氷室饅頭は、心がほっこり温まる感じがするお饅頭でした。

7月1日が氷室の日ですが、7月2,3日まで販売している時もあるので、買い忘れた方は、確認して買いに行ってみてください。(2019年確認)

 

  • 大きさ:直計7.5センチ、高さ3.6センチ
  • 1個:145円(税込)
  • 「みや川菓子舗」(金沢市笠市町6-3・TEL:076-231-1323)

まとめ:氷室まんじゅうを食べ比べてみて

暑い夏の始まりに、あえて蒸した饅頭を食しつつ、江戸までの長い旅路についた「氷室」の氷に思いをはせ、つつがなく盛夏を乗り切るよう祈願する。

いかにも菓子どころ金沢の水無月を飾る、古式ゆかしい風習ですね。

 

有名どころ五店の食べ比べだけでも、それぞれの店の個性がまったく違うことがわかりました。

六月下旬から七月一日あたりで金沢に来るのなら、気軽なおやつとしてぜひ気になる和菓子店をのぞいてみてはいかがでしょう。

小さな氷室饅頭から、銘店のこだわりどころが見えてくるかもしれません。

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この記事の著者

がる猫

がる猫

女性のための情報発信サイト「がるこね(girlcone.com)」に生息する好奇心旺盛な猫。女の子。
自慢の長いしっぽは好高感度で全方位なアンテナ。
世の荒波を軽やかに乗り越え、しなやかに楽しく生きるイイオンナを目指している。
必要な努力は惜しまないけれど、不要な労力を蹴散らすための情報収集も怠らない。

「にゃん」と鳴かないと噂されているが真相は謎。

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