【金沢和活部】 ディープ金沢東山・町屋塾でお茶会体験

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20170404お茶の稽古1

 

ひがし茶屋街から路地を入った卯辰山の麓に、昭和初期の町屋を改修した素敵な空間、町屋塾があります。

ここで毎月第3日曜日、申し込めば誰でも参加できる表千家のお茶会が開催されています。

オープンで気の張らない会なので、お茶会はまったく初心者という人も、また他流派の人も和気藹々。

それでいてお茶室での立ち居振る舞いも、茶の湯のことも、しっかり教えてもらえます。

さらに! 薄茶だけでなく濃茶も振る舞われ、お菓子は金沢でお茶会と言えばここという、名店『吉はし』さんの上生菓子。

コストパフォーマンス高すぎです。

今回は、このお茶会を中心に、町屋塾の『茶の湯』教室についてご紹介します。

目次

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敷居の高くないお茶会

金沢は、生活の中に普通におもてなしの文化が息づいている。

とにかく、折々に開かれるお茶会の多いこと、盛んなこと。

県外出身の私の目には、この地で生まれ育った人たちがお茶文化の恩恵を、ごく当たり前に受け継いでいることにいちいち驚いたりします。

生まれも育ちも金沢のある奥様は、

「昔は町内に何人かはお茶の先生がいて、年頃の娘は習いに行くのが当たり前だった」

と、おっしゃいます。

 

でもまあ、そうはいっても (そうだからこそ?) 、お茶をやらない人には「なんか面倒くさい」「知らないで行くと怒られそう」「値踏みされそうで恐い」と、敬遠されがちなのも事実。

私もそうでした。

お抹茶は大好きだけど、ちゃんとしたお茶席に行くのは二の足を踏んでしまう。

 

そんな私にぴったりのお茶会。

それが町屋塾茶会でした。

 

以来3年、毎週火曜日お昼前、表千家の吉村先生に手ほどきいただいています。

お茶の世界で3年ばかりかじった程度では、ようやく薄茶点前の手順が頭に入ったくらい、とても「お茶やっています」などと言うのも恥ずかしいレベルですが、ここでは、そういうお茶の先生方、先輩方のツッコミは聞こえない聞こえない。

 

お茶なんてまったく無縁の人が感じる「敷居が高い」とか、「なんか恐い」という気後れを取り払って、3年目の私がすっかりはまり込んだお茶の楽しさについて書いていきたいと思います。

 

天神橋の向こう側に渡れば、もうお茶モード

さて、町屋塾は観光客で賑わうひがし茶屋街から狭い路地を入った裏通りにあります。

卯辰山の最も麓寄りの小径は、車が (住民の方の芸術的とも言える幅寄せ技術でなんとか) 一台通れるかどうかという、東山最深部。

毎週通っていると、民家の軒下にそれぞれ丹精込めて育てられている花々の移ろいにも、季節を感じます。

天神橋を渡り、駐車場に車を停めて浅野川沿いを歩くあたりから、心はもうお茶モードに入っています。

これは1月の初釜のとき、年明けの大雪の合間に覗く青空と、雪をかぶった堤防沿いの桜の木。

つい先日の3月のお茶会では、もう堤防の桜のつぼみが膨らんでいました。

季節を味わう心、これもお茶の楽しみなのですね。

 

3月の町屋塾茶会レポート

敷居がそんなに高くなくて、美味しいお茶が飲めるなら、お茶会、出てみようかな?

そう思ったあなたのために、直近三月に開催された町屋塾茶会のレポートをお伝えします。

 

■できれば用意していきたいもの

●お茶用の扇子
●懐紙

(なければ町屋塾で貸してくれます)。
●白いソックス、替え足袋、足袋カバー

※洋服の人は、待合で白いソックスに履き替えます。
※着物の人は、あらかじめ履いてきた足袋カバーを脱ぐか、換えの足袋に履き替えます。

■着物について

通常、気軽なお茶会に着て行く着物は色無地か小紋と言われていますが、吉村先生はあまり厳しい決めごとは作らず、

「着たいものを着てきてね」

と言われます。もちろん、洋服でもオッケー。でも着物を着て行くととても喜んでくださいます。

 

そんなわけで、いろんな着物を見られるのも、ここのお茶会の楽しみのひとつです。

この日、正客さんは綺麗な深い緑の色無地、次客さんはシックな鮫の江戸小紋、三客さんは椿の花を描いた加賀友禅の付下げ。

三者三様のお洒落な着こなしに、眼福です。

お茶会あるある、席順バトル

今回の参加者は10人。ちょうどいい人数です(あんまり多いと足痺れちゃうし、お茶室の親密な空気が少し薄れるからね)。

 

席入りの前に、あらかじめ席順を決めておきます。

どのお茶会でも、誰がどこに座るかを決めるのに、しばしばバトルが繰り広げられます。

 

町屋塾では多くの場合、くじ引きで決めますが、お茶会の主賓である「正客」さんと次の「次客」さん、そして最後の「お詰め」は、それぞれ役割があるので、よくわかっている人にやってもらいます。未経験の人は、真ん中くらいの席順に入れてもらい、見よう見まねで大丈夫。

今回は女子ばかりでしたが、男性の参加者がいるときには、正客さんをお願いすることも多いです。嫌がる人もいますが、ここで思い切って引き受けると、よそのお茶会で度胸がついていいですよ~。

席入りとお軸拝見

にじり口の手前で、後から入る人に「お先に」と声をかけ、扇子を前に置きお部屋に向かって一礼して膝でにじり入ります。

床の間の前で扇子を置いて一礼、掛け軸とお花を観賞して、今度は道具畳の方に行きます。

 

今日のお花はサンシュユと貝母。小さな床の間に置かれたお花と花器によって、季節の風景がぽっと浮かび上がるような、そんな亭主の心づくしを感じ取ります。

お席入りの手順はすべて先生がナビゲーションしてくださいますから、前の人のやり方を見て、先生の言われるまま、あなたは身を任すだけ。

先生はお茶を点てず、お茶席でのお作法を指導したり、道具やお茶の解説をされます。

お茶を点てるのは、先生の娘さんの圭子さん。

美しいお点前、勉強になります。

お茶席の楽しみの一つ、『吉はし』の上生菓子

主菓子は金沢を代表する和菓子店の銘菓「吉はし」さんの花籠。

濃茶の前に出されます。

若竹に見立てた外側の練り切りに、井桁の切り込みが入り、籠を表しています。春らしい逸品、絶妙な口溶けの上生菓子です。

抹茶好きにはたまらない、濃厚な濃茶

濃茶はとろ~っとしています。

「点てる」と言うより、「練る」が正しい。普通にいただくお抹茶のイメージと全然違ってびっくりするかもしれません。

濃茶席では、3人から5人ほどを1グループに、同じ器から回し飲みします。

 

出し帛紗に丁重に載せて三口半ずつ、最後の客が上手く飲みきるように、同じ器でいただく客がそれぞれ調整し合いながらいただきます。

量を見きわめながら、冷めないうちに次の人へと回す心遣いが、この席にいるみんなで心を合わせ、気持ちよい空気を作り上げていきます。(写真は二月のお茶会での濃茶)

軽やかで楽しいお干菓子

お薄に移ると、場がだんだん和やかに、少しくだけた感じになってきます。

濃茶のピリッとした空気、一つの器でお茶を回すお作法がフォーマルな儀式なら、薄茶はカジュアルな懇親会。

 

薄茶に添えるお干菓子も、ちょっと洒落っけのある、座を盛り上げる工夫が感じられます。

つくしをかたどった春のお菓子が可愛い。頭の部分は細かいあられで出来ています。甘いお菓子にちょびっとの塩気と香ばしさが嬉しいですね。

表千家と裏千家で立て方が違う

お薄はひとり一杯ずついただきます。

「お先に」

「お相伴いたします」

「お点前ちょうだいいたします」

前後の客にご挨拶を忘れずに

お抹茶の緑で目を楽しませ、香りたつ湯気を鼻腔に迎えます。

受ける左手添える右手、両手いっぱいに器の存在感とお湯の温度を感じながらお茶に一礼。そうして手前へ45度回し、ひとくちめを味わいます。

 

表千家のお茶は、あまり泡立てません。ラテのようになめらかなクリーム状の泡が乗る裏千家流との違いです。

どちらも美味しいと思うけど、泡の切れ目に「月が映るように」深い緑が現れる、表千家の点て方を一生懸命学んでいる私には、艶やかな水面がとても美しく感じます。

 

お茶談義もまた楽しい

すべてのお点前が終わり、お仕舞いに入る頃には、お席はさらにリラックスしてきて、いろんな話が出ます。

今回は裏千家を経験された方と、遠州流をお稽古されている方が参加していて、それぞれの流派の違いの話はとても興味深かったです。

また、参加者のひとりが、先日参加した格式の高いお茶会についてお話ししてくれて、みんな興味津々。

 

そして、最後。

水差しの水をひしゃくで2回、お釜に入れて蓋をします。
このときの、シュンシュンと沸いていたお湯の音が一瞬止まる瞬間が、私は大好きです。

お湯が沸く音に慣れた耳が、その瞬間にすっと静寂に戻るのです。

お茶会の後は、1階カフェでランチ

お茶会の後には、1階の「カフェ十一夜」で、町屋塾の千佳さん特製ランチが待っています。

ここのランチは肉も動物性タンパク質も一切使わないビーガンですが、そんなふうに思えないくらい、雑穀と野菜のうま味とコクがいい仕事をしています。

税込み1,100円!

ランチ終了と入れ替わりに、オランダからお茶体験のお客様が町屋塾を訪れました。

建物写真を専門に撮るフォトグラファーとその姪御さん、2人で3週間かけて日本を回るのだそうです。
町屋塾は英語のサイトもあるため、こんなふうに海外からのお客様もけっこういるのです。

 

 

着物が大好きと姪御さん。

着物を着て、お茶体験をされた後、東山を散策して金沢を満喫したようです。

こんなふうに突然国際交流が始まるのもまた、町屋塾の魅力かも。

町屋塾茶会のおすすめポイント

町屋塾のお茶会は、誰でも予約をすれば参加できます。

難しい作法を知らなくても、誰も笑わない、怒らない、陰口なんか言わない。違う流派の心得がある人は自分のやり方でオッケー。難しい人間関係もない。

これぞディープ金沢!

ロケーション含め、お茶室の趣きが心地よい。

ひがし茶屋街の最奥地、卯辰山の麓。観光地の喧噪も、ここまでは届きません。

聞こえてくるのは風の音、鳥のさえずり、虫の声。季節を感じながらお茶をいただくには最高の場所です。主宰者の千佳さんと職人さんがこだわり抜いて新しい息吹を吹き込んだ町屋建築は、お茶室の設えもすべて手作りです。

薄茶だけでなく、濃茶も振る舞われる

高級銘柄の厳選したお茶を惜しげもなくたっぷり使って、薄茶は香り高く、濃茶は濃厚に。

お茶どころ金沢でも、気軽に参加できて濃茶までいただけるお茶会は、それほど多くありません。

まったりと練り上げられた濃茶をぜひ味わってみてください。抹茶好きにはたまらないはず。

お菓子が美味しい!

普通にデパートや駅ナカの石川銘菓コーナーでは買えない、和菓子消費量日本一を誇る金沢でも、レアでコアな銘菓『吉はし』さんのお菓子です。
お菓子も職人さんが工夫を凝らし、目でも季節を味わえるように作られています。

たっぷり味わいたいですね。

お茶席での立ち居振る舞いを教えてもらえる

だいたい10人前後の少人数の席で、襖の開け閉め、茶室での足運び、ご挨拶、お茶道具の文化的背景など、たくさんのことを学べます。何度か足を運ぶうちにちょっとしたお茶席でも臆することなく振る舞えるようになるはず。

 

タイミングよければ国際交流も!

町屋塾は金沢市の海外向けWebサイトでも紹介されています。

それを見て「ティーセレモニー」体験をしたいと海外からのお客様が訪れたりもします。世界各国から訪れる人たちと交流するチャンスも。

お値打ち!

これで参加費1人2,000円は、間違いなくお得。

町屋塾のこと

町屋塾のオーナー宇都宮 千佳さんは、愛媛出身。

地元愛媛、金沢、東京、ロンドンで舞踊を学び、舞踊家として活躍された後、1997年から金沢に移住して、2010年に町屋塾を開きました。昭和初期に建造された町家を、金沢と愛媛の職人たちがそれぞれの技を駆使して改修し、カフェ/ワークショップスタジオ/イベントスペース/和室の機能を併せ持つ素晴らしい空間を作り上げました。

※写真は2016年12月 千佳さんの舞と圭子さんのお茶に、プロジェクションマッピングを加えた幻想的なイベント「一服一舞」。

千佳さんのダンスのワークショップ、吉村先生のお茶の他、香道や着物などの教室も開催されています。

管理栄養士の小野澄江さんによる、旬の野菜と雑穀メインの、からだにやさしいスミスカフェも営業しています(予約制)

この他、町屋塾にご縁のある表現者が集まり、随時ここでイベントを開いています。

http://www.machiyajuku.com/

お茶会情報

■日時
定例のお茶会
毎月第3日曜日 10:30~ (変更あり、お問い合わせください)。

※この他、学校・企業・グループなどで希望があればご相談も受け付けています。ただし他イベントとの兼ね合いや、先生のご都合でお受けできないこともあります。

■持ち物
・お茶用の扇子
・懐紙

(なければ町屋塾で貸してくれます)。
・白いソックス、替え足袋、足袋カバー

 

店名 町屋塾
TEL 076-252-3176
住所 石川県金沢市東山1-34-6
営業時間 10:00 ~ 21:00  
定休日 木曜日
駐車場 有・2台
お店のウェブサイト http://www.machiyajuku.com/

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この記事の著者

Kumi

Kumi

金沢在住。単行本を中心に原稿を書いているフリーライターです。
日本中の「すごい人」に会って話を聞き、記事を書き、書籍を作ることを生業にしています。

着物、お茶、和の文化にハマり始めた遅咲きビギナー。
金沢"和活部"を立ち上げ、和文化の楽しみ、金沢の魅力を発信していきます。

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