
4年に一度の祭典、オリンピック。
フィギュアスケート男子シングルは、なんと羽生結弦選手が66年ぶりの2連覇達成!
さらに宇野昌磨選手が銀メダル。
日本フィギュアスケート史上初のダブル表彰台。
羽生選手と同門のハビエル・フェルナンデス選手も銅メダル!
個人的にはフェルナンデス選手がメダルを獲れたことも嬉しい。
これほど最高の瞬間に立ち会えるという奇跡!
本当に素晴らしい闘いでした。
それにしても、終わってみれば男子は上位3選手が300点越え……
いやー本当にとんでもない次元の闘いですね。
小塚元選手(バンクーバー五輪代表)の言葉をかりるなら、
まさに「神々の遊び」*ଘ(੭*ˊᵕˋ)੭* ੈ✩‧₊
そして、いよいよ明日、2月23日(金)は女子フリー!
これでフィギュアスケート全種目の結果が決まりますね。
女子も2月21日に行われたショートは髪演技連発で心臓バックンバックン。
見てるだけなのに(笑)
日本勢は、4位に宮原知子選手、5位に坂本花織選手!
すっばらしい演技でした!
この後のフリーも是非とも、自身最高の、納得のできる演技ができるよう頑張って欲しいですね!テレビの前から全力応援してます!
見てるだけなのに、緊張で胃がキリキリしそうですが(笑)
まぁ明日まで時間があるので、ちょっと落ち着きつつ、フリー・プログラムのルールの再確認もしておきましょうか。
前回はフィギュアスケート・ショートプログラムのルールについてまとめました。
今回はフリー・プログラムについて。
フリーはショートよりも演技時間も長く、要素(エレメンツ)も多いため勝敗に大きく関わってきます。しかもこれまたルールが複雑です。
でもこれを知ってから見ると、よりフィギュアの試合が面白く見れるかも!?しれませんよ(笑)
※フィギュアスケートにはシングルの他にペアやアイスダンスもありますが、この記事ではシングルのみを対象にまとめています。
※2017年に書いた記事に加筆修正したものです。
目次
フリースケーティングの演技時間
ショートプログラムで上位に入れば(世界選手権では24位まで)、「フリースケーティング」に進めます。
FS(フリースケーティング、これ以降FSあるいはフリーと表記します)では、男女で演技時間が変わります。
- 男子:4分30秒 ±10秒(4分20秒〜4分40秒)
- 女子:4分 ±10秒(3分50秒〜4分10秒)
演技後半は男子は2分15秒以降、女子は2分以降ということになりますね。(演技時間は±10秒の幅があるので選手により多少異なります)
演技後半に行われたジャンプは基礎点が1.1倍になります。
演技時間と減点
転倒やタイムオーバーによる減点はショートプログラムと同じです。
演技時間のペナルティーは、5秒ごとになんとマイナス1点!もちろん足りなくても減点。
転倒による原点は、1回目と2回目の転倒は各マイナス1.0点。3回目と4回目の転倒は各マイナス2.0点、5回目以降の転倒は各マイナス3.0点。
転倒回数が多くなるほど減点の配分が大きくなります。
フリースケーティングの規定要素
曲の指定はなく、自分で選んだ音楽の曲想を、原則的に自由な演技で表現します。
プログラムに含むことのできる要素(エレメンツ)を自由に構成して滑走します。
フリーでは、ジャンプ要素は8回(女子は7回)まで、スピンは3回まで、ステップは2回までの、最大最大13個(女子は12個)の要素というふうに、入れられる回数が決まっています。
入れる順番の指定は特にありません。ただし、ミスをした要素をそのままやり直すことはできません。
先ほども書きましたが、演技後半に行われたジャンプは基礎点が1.1倍になります!
ジャンプ要素は最大8回まで(女子は7回まで)
フリーではジャンプ要素は最大8回まで飛べます。女子は7回まで。
でもなんでもかんでも飛べるわけではありません。これまたややこしい規定があります。
- アクセル・ジャンプを最低1回は含む
- アクセルを含むいかなるダブルジャンプも(単独でも、コンビネーション/シークエンスの一部としても)飛べるのは2回まで
- 同じ種類の3回転以上のジャンプは2種類を2回まで(4回転と3回転は別の種類とみなす)
その内1回は必ずコンビネーションかシークエンスにしなければならない。
コンビネーションをつけられず単独ジャンプで繰り返された場合、2回目のジャンプの得点は本来の基礎点の70%になる。
2つ目には“+REP”の記号が付く。 - トリプル、クワドの2種類のみ、コンボ/シークエンスで繰り返し可能
- 同じ回転数・同じ種類のジャンプを3度目にコンビネーションジャンプ内で跳んだ場合、重複したジャンプのみが0点になる。
- ジャンプ・コンビネーション、ジャンプ・シークエンスは、最大3回まで可能。
- ジャンプ・コンビネーションのうち1つは最大3連続までのジャンプを含んでよく、残りの2つは最大2連続までのジャンプとする
スピンは最大3回まで
- スピン・コンビネーション1回:足変え1回以上。合計10回転以上。
- フライング・スピンまたはフライング・エントランスのスピン1回:6回転以上。
- 1種類ポジションのスピン1回:6回転以上。
3つとも異なる種類のスピンでなければならない。
スピンでは採点表で全く同じ表記(CCoSp, FSp等)をされるものが複数あってはならず、複数回同じスピンを行った場合は、その表記のスピンのうち最初の1つを除く全てが0.0点となってしまいます。
ステップ・シークエンス
リンク全面を十分に使用したステップ・シークエンスは1回まで。
どのような種類のステップ・シークエンスを行うかの選択は競技者の自由。 ただし短すぎてやっとそれと分かるようなものはステップ・シークエンスの要件を満たすとはみなされない。 ステップ・シークェンスの中でジャンプを行ってもよい。
コレオグラフィック・シークエンス
リンク全面を十分に使用したコレオグラフィック・シークエンスを1回まで。
どのような種類のコレオグラフィック・シークエンスを行うかの選択は競技者の自由。
あらゆる種類の動作で構成され、最大2回転までのジャンプ、スピンを含むことができ、ジャンプ、スピンを行ったものとして数えない。シークエンスははっきりと目に見えるものでなければならない。
レベルは固定し、GOEでその質を評価する。
コレオグラフィックはステップの前もしくは後に実施することができる。
※スピンのポジションとして認められるには2回転必要
スピン・ステップについてはまた細かく色々あるので、またその内…
リカバリーについて
フリーでは時間もショートより長くなり、エレメンツも最大13個(女子は12個)まで実施できます。
しかし試合本番では何が起こるかわかりません。
例えば、単独の「トリプルルッツ(3Lz)」と「トリプルルッツ(3Lz)+トリプルトウループ(3T)」のように、片方がコンビネーションになっていれば大丈夫。
でも、当初はコンビネーションの予定だったが、ファーストジャンプの着氷が乱れたり転倒してしまったりして、セカンドジャンプに繋げることができず、結果的に単独の同じトリプルジャンプを2回飛んでしまった場合。
その2回目のジャンプが繰り返し(リピート)となり、基礎点の70%しか得点をもらうことができないんです。
(3Lz 3Lz+3T → 3Lz 3Lz(+REP))
コンビネーションジャンプは最大3回まで可能なので、予定演技構成を、例えば1回目のジャンプコンビネーションにする。
そうすればもしも失敗して単独のジャンプになってしまった場合でも、あとから単独で飛ぶ予定だったジャンプにコンビネーションを付けるなどして、リカバリーすることができます。
しかし、いつどこで失敗するかなんて選手本人にすらわからないですし、そもそも失敗しないために練習してるわけで…
それにもしここの要素が抜けたら次はここを変えてリカバリーするなど、シミュレーションはしているでしょう。でも本番では予想もしない失敗をすることもあるので、ついとっさの判断で同じジャンプを跳んでしまったり、飛び過ぎてしまったりということもあります。
なおかつこの超高難度時代では少しでも得点を積み上げるため、コンビネーション・ジャンプを後半に持ってきたりするとそもそもリカバリーが難しかったり…(後半は得点が1.1倍になります)
さらに、スピンでもコンビネーションの内容を換えて行わなければならないため、全く同じ構成のスピンをした場合(採点表記が同じもの)は、なんと0点になってしまいます。恐ろしい…
四大陸選手権のFPで見せた羽生結弦選手の驚異的なリカバリー
羽生選手の今季のフリーは「Hope&Legacy(ホープ・アンド・レガシィ:希望と遺産)」。
久石嬢さん作曲の『View of silence』と『Asian dream song』が使われています。
ちなみに『Asian dream song』は、歌詞をつけて『旅立ちの時~Asian Dream Song~』として長野パラリンピックのテーマソングとしても使われました。
予定演技構成(ジャンプのみ)
- 4Lo(12.0)
- 4S(10.5)
- 3F(5.3)
<ここから後半> - 4S+3T(10.5+4.3=14.8 *1.1)
- 4T(10.3 *1.1)
- 3A+ 2T(8.5+1.3=9.8 *1.1)
- 3A + 1Lo + 2S(8.5+0.5+1.3=10.3 *1.1
- 3Lz(6.0)
実施構成(ジャンプのみ)
- 4Lo(12.0)
- 4S(10.5)
- 3F(5.3)
<ここから後半> - 2S + 1Lo(1.3+0.5 *1.1)
- 4T(10.3)
- 3A+ 3T(8.5+4.3=12.8 *1.1)
- 4T + 2T(10.3+1.3=11.6 *1.1)
- 3A(8.5 *1.1)
リカバリーの何がすごかったか
2本目のサルコウがダブルになってしまいました!
そのあとにループをつけたように見えましたが、練習で「2S/Lo/4S」をやっているのでそれをやるつもりだったとか…でもスピードが足りなかったから4Sは飛ばなかったと。
その後の4回転トーループは成功!
さらに続く「3A+ 2T」では先ほどの「4S+3T」で飛ぶ予定だった「3T」を持ってきて、「3A+ 3T」に変更!!
さらにさらに、トリプルアクセルからの3連続コンビネーション・ジャンプの予定だった「3A + 1Lo + 2S」をなんと「4T + 2T」に変更!!!
ここで4回転をぶっ込んできます!Σ(・ω・ノ)ノ!
しかも「4T」はすでに単独で跳んでいるため、コンビネーションにすることも忘れていません!
驚異のリカバリーはまだ終わりません!
「3Lz」を飛ぶ予定でしたが、2回跳んでいるのは「4T」だけ。
つまり、「3A」はあともう1回飛べます!
トリプルアクセルを得意としている羽生選手は、当然のように最後のジャンプにトリプルアクセルを持ってきた!!!!!ヾ(・ω・´;)ノ━!!!!
リカバリーで4回転を入れてくるとか、しかも体力的に相当きついであろう最後のジャンプにトリプルアクセルを持ってくるとか、ありえない!
それもコンビネーションの数などを計算しながら滑っていたそうですが…
そんな状態でこんな驚異的なリカバリーできるんですねぇ…
五輪でも魅せた!羽生結弦選手の驚異のリカバリー
五輪シーズン、羽生選手のフリーは「SEIMEI」。
この曲は2季前にも使用し、世界最高得点を叩き出したプログラムでもあります。
4回転の数や種類はこのわずか数年で劇的に増えましたが、今だに破られていないどころか、近づくこともできていない珠玉の演技でした。
シーズン当初は羽生選手も4回転ルッツを組み込んだりしていましたね。
羽生選手の平昌五輪での予定ジャンプ構成
- 4S
- 4T
- 3F
<ここから後半:基礎点が1.1倍になります> - 4S + 3T
- 4T + 1Lo + 3S
- 3A + 2T
- 3Lo
- 3Lz
4回転を4本!
平昌五輪での実施ジャンプ
- 4S美
- 4T美
- 3F美
<ここから後半:基礎点が1.1倍になります> - 4S + 3T美
- 4T rep
- 3A + 1Lo + 3S
- 3Lo
- 3Lz堪
なんと前半の4回転サルコウと4回転トーループはGOE3.0!
満点!!
とっさのリカバリーはさすが
予定では後半の4回転トーループは3連続ジャンプの予定でした。
(3連続ジャンプはプログラム中に1度だけ組み込めます)
しかし、着氷が堪える形になってしまったために連続ジャンプにすることができませんでした。
しかも同じジャンプを跳ぶ場合は必ずどちらかをコンビネーションジャンプにしなければいけません!
両方単独ジャンプになってしまうと、あとで飛んだ方のジャンプの得点は基礎点が70%になってしまいます。
前半に単独の4回転トーループを飛んでいるため、後半の4回転トーループはREPになってしまいました。
これが2回目のジャンプをコンビネーションにすることの恐ろしさですねー。
とはいえ、羽生選手、直後の3アクセルからのコンビネーションをとっさに3連続ジャンプに変更してきます!
震えます!
最後のルッツを堪えた後の気迫のステップシークエンス!
あれだけの怪我から、
ほぼ4ヶ月ぶりの実戦、
復帰戦、それもオリンピックでこんな演技ができるなんて…
感動爆発!!
ありがとう!
おめでとう!
今思い出しても感動で震えます。
延々と語り続けてしまいそうになるのでこの辺で止めておきます。(笑)
予定演技構成はあくまで予定
選手は予定構成表(planned program content sheet)というものを事前に提出しますが、予定はあくまで予定。
ジャンプを失敗してしまった場合に、選手は先のジャンプ構成の変更を滑りながら考えなければなりません。そしてもし勘違いや計算間違いをしてしまったら、大きな失点という結果になることもあるわけです。しかし驚異のリカバリーを見せて挽回してくることだってできる!ジャンプを失敗してもそこで終わりじゃないんです!!
しかしながら、なんとルールは毎年微妙に変わります。演技時間やエレメンツも変わるんですよ。
毎年毎年変わるルールに対応しなければならない選手は大変ですよね。
観るぶんには華やかですし、ジャンプが次々決まるとワクワクしますが、選手はものすごく大変だと思います。
練習を積み重ね、それでも本番で失敗してもそれを表情に出さず、演技を続けながら、頭の中ではリカバリーのための構成を考え、それを実行していく。
本番の試合中に、凡人には計り知れない、緊張感の中、お客さんを引き込む演技をしながら頭はフル回転。さらに体は休むことなく常に動き続け、演技中に考えた構成をこなしていく。
いやーもう尊敬しかないですね。
まぁだからこそ一旦、フィギュアスケートの魅力にとりつかれるとズブズブと沼にハマるが如く、落ちていってしまうのです。
まとめ
2回にわたって、フィギュアスケートのショートプログラムとフリースケーティングのルールについてまとめてみました。わかりやすく説明できているかなぁ?
ショートではわずか3分弱の間に7つの要素をこなさなければならず、しかもジャンプは3回までしか飛べないため、ミスが許されないという緊張感が半端ないです。
フリーでは逆にルールの範囲内でリカバリーをすることが出来るため、何が起こるかわからないというワクワク感があります。
最近はテレビとかだとデータ放送で選手の予定演技構成が見れたりするので、それを見ながら一緒に、ここでこのジャンプをこうすればリカバリーできるんじゃないか!?とか考えながら見るのもありかもしれませんよ(笑)
もっとも四大陸の羽生選手のリカバリーはあまりに予想の斜め上すぎて、思考停止してしまいましたが。あんなリカバリーを演技中に、それもほぼ一瞬の判断でやってのけるとか…脱帽です。
個人的に、というか同じように思う人は多いと思いますが、羽生選手の強さを3つ挙げるとするなら、
- 圧倒的なジャンプの質・美しさ
- 高い技術に裏打ちされた表現力
- 瞬時のリカバリー能力
他にもスピンの美しさとか、スケーティング能力の高さとか、人間力とか挙げ出すときりがないんですが、やっぱりまずはこの3つ!これは外せないですねー。
まとめと言いながら、延々にまた語り続けそうになるのでこの辺で!(笑)
羽生結弦選手、オリンピック金メダルおめでとうございます!!!!
仙台のパレード行ってみたいなぁ…
<参考>
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