
気象庁が緊急記者会見を開くほどの暑さの中、
夏バテ気味ではあるものの、一向に夏ヤセの気配が見えません。
世の不条理に苛まれるトモミ・デラックスでゴザイマス。ごきげんよう。
今回のことば力のお話は、ちょっと砕けたカンジ……かな?
ワタシが発見した(のかもしれない)日本人の言葉感覚について。
そして「エロい」についてデス(何)
目次
「エロい」はいつから市民権を得たのか?
夏。薄着の季節。肌の露出が増える季節。
胸元の開きが大きくなる季節。
「おーっっっ、エッロ♡」
なんて男性の声が聞こえてきそうな季節?
淑女紳士がご覧になっている(であろう)当ブログでなんて書き出しなんだ!
と、セルフつっこみをしつつ、でも今日のことば力のテーマは「エロい」という言葉についてなのでお許しを。
「エロい」という言葉ですが、最近は「セクシー」「魅力的」なイメージで使われるコトがおおいような気がしますが、もともと「エロい」はあんまりいい意味じゃなかったような気がするトモミ・デラックスでゴザイマス。
じゃあ、いつ「エロい」は市民権を得たのでしょうか。
ワタシの記憶によると倖田來未さんの登場が大きかったのではないでしょうか。
抜群の歌唱力とセクシーなファッション、腰をくねらせるダンスも艶っぽい彼女が「キューティーハニー」を歌う姿を見て、世の中の男性も女性も口をそろえて言いましたよね。
「エロかっこいい」って。
この頃から「エロい」は肯定的な意味を持ち始めたのではないかと思っております。
そもそも「エロい」っていうのはどんな言葉やねん
「エロい」
そもそもこの言葉はどこから来たのでしょうか。
ちょこっと調べてみたところ、はっきりとした出典というものはなかったのですケド、分かったのはどうやら「エロティック」の略語で、大阪発祥のようです。たぶん諸説アリマス。
エロティックというのは
性的な欲望をそそるさま。また、色気があるさま。肉感的。
さらにエロティックの語源? であるエロティシズムも調べてみると
エロティシズムという言葉の語源はギリシア神話の愛の神エロースの名前である。エロティシズムは官能愛または人間の性衝動(リビドー)のことだと考えられている。西洋哲学やキリスト教は愛をエロス、フィーリア、アガペーの3種類に区別している。この3者のうちエロスはもっとも自己中心的で、自己への配慮に満ちていると考えられている。
(中略)
エロスとしての愛は、フィーリア(友情)やアガペー(無償の愛)よりも卑しいと考えられている。
(後略)
ウィキペディア
だそうで、まぁ語源から見てもあまり肯定的とは言えない言葉なのです。「エロい」というヤツは。
エロい。古い言葉で言うと「いやらしい」が近いのカナ
辞書引きで得た「エロい」の意味もそうなんだけど、口語的にも「エロい」は「いやらしい」という意味で使われることがほとんどでした。
「いやらしい」というのは
「嫌らしい」または「厭らしい」と漢字を当てられます。
「嫌」も「厭」もいい意味ではないですよね?
というコトから考えても、「エロい」は決して言われて喜ぶような言葉ではなかった筈なのデス。
ちなみに「いやらしい」を辞書で引くと
①様子・態度などが不快感を与えるさまである。
②性的に露骨で不潔な感じだ。
weblio辞書
不快感だの不潔だのと並べられると、やっぱり言われたくない言葉ですよねー。
イメージが近い言葉と考えて思い浮かんだのが
「はすっぱ」だったので(若い世代的には死語か?) コレもちょっと意味を調べてみました。
はすっぱ
はすっぱ女
態度や言葉が下品で軽はずみな女性のこと
類義語:品のない女 ・ はしたない女 ・ 行儀の悪い女 ・ 軽薄な女
これでもかってくらいな罵詈雑言が並んでいてちょっとびっくり。
それよりも「はすっぱ」を調べてみてわかったのが「はすっぱ」はソレ単体で使われるんじゃなくて、「はすっぱ女」という言葉みたいです。「はすっぱ男」はないそうデス。
どんな女性蔑視ダヨ!!!
なんて憤ったりしてみましたが、今回はソレは置いておきます(涙を呑んで)
翻って、今の「エロい」の使われ方と同様の意味を持つ言葉は
色っぽい
艶っぽい
セクシー
などになるのかな。
コレは決して言われて不愉快になる言葉ではありませんね。もちろん個人差はあると思いますが、ワタシは「色っぽいね」と言われて悪い気はしません。
……………半世紀生きてきて、ほとんど言われたコトはないですケドねっっっっ(涙)
「いやらしい」のに「ステキ」なのが「エロかっこいい」
まぁ、ワタシの色気がミジンコ並なコトもこの際置いておくとして。そもそもミジンコに色気があるかという議論も今はしないとして。
「エロい」が肯定的な意味に変わってきたのは、やっぱり倖田來未さんを形容した「エロかっこいい」に由来するような気がするワタシであります。
セクシーな衣装、セクシーなダンスで、色っぽい歌を歌う倖田來未さんを見て、当時の人々はやっぱりどこか露骨な性的表現を感じたのではないかと思うんです。
でも、それが「不快」ではなくむしろ惹きつけられた、という人が多かったのが彼女を人気者にした要因ではないかと。(そしてワタシはくーちゃんファンである)
「エロかっこいい」は
「いやらしい」のに「ステキ」だという矛盾した印象から生まれた言葉なのではないかと。
ワタシ的には「しどけない」が一番しっくりくる表現かな、と。
また新しい言葉が出てきましたね。「しどけない」
辞書によると
1服装や髪が乱れていて、だらしがない。むぞうさで、しまりがない。
2うちとけた感じで、つくろわない。乱雑であるが、親しみを覚えて好ましい。
3幼くて頼りない。分別が足りない。
Goo辞書
ココで注目したいのは2の意味。
「だらしがなくて無造作なんだけど、打ち解けた感じで親しみやすくて好ましい」
まとめるとこんなカンジになりますよね。
相反するものが同居する言葉「しどけない」
「エロかっこいい」はまさにそんな意味を持って誕生したのではないかと!
「不愉快でもあるんだけどかっこよくもある」
それが「エロかっこいい」
ここからの派生で「エロかわいい」なんて言葉も生まれましたよね。
「エロい」は、肯定的な意味を併せ持つ「エロかっこいい」や「エロかわいい」の後半部分が省略された言葉なんだなーと、改めて考えたりしたワケです。
省略語としての「エロい」は、その際に否定的な意味まで省いてしまったのではないかと。
そしてココからがワタシの大発見(かもしれないもの)
エロかっこいい=しどけない
がワタシの大発見ってコトじゃないですよ?
真逆の意味を持つものを組み合わせて新しい意味を持たせる。コレって日本語には案外多いんです。
他の言語にもあるのかもしれませんが、生憎、ワタシの語彙力は日本語限定なもので比較ができません(泣)
組み合わせでなくても「ヤバい」や「全然」がもともとは否定的な意味を持つ言葉だったものが使い方や前後の言葉とのつながりで肯定的な意味を持ち始めたのも同様。
さて、「大発見って何ダヨ。もったいつけてんじゃねーよ」とそろそろお怒りの声も聞こえてきそうですが。
決してもったいつけているワケではなく、どうしても長々と説明しがちになっちゃうのがトモミ・デラックスクオリティでございます。お許しを。
で、その大発見というのは
「コレって口中調味と同じじゃね?」と思ったというコトなのですよ。
今日はいろんな新しい言葉が出てきます。
口中調味
味のないごはんを口の中で、おかずの味で味付けしながら食べていくという独特の食べ方です。たとえば、ごはんとお刺身を一口食べたあと、ごはんと野菜の煮物の一口に切りかえ、その次にごはんと漬物を合わせて味わい、さらにお味噌汁を飲みます。(後略)
出典:和食普及研究会
聞くところによると日本の独特の食習慣のようです。
ごはんに味がないというのは、個人的には「違うだーろー」と思ったりしますが、つまり、ごはんとおかずを同時に(あるいは相次いで)口の中に入れることで、新しい味わいが生まれる食べ方が口中調味。
どんな食材同士を口中で調味するかは、経験則によるものが多いとは思いますが、その上で「コレとコレは組み合わせるとおいしそう」という感覚も多大に関係しています。
新しい言葉が生まれるというのは、コレと近いんじゃないかと。
だから、新語というのは感覚の鋭い若い世代から生まれがちなんだろうな、なんてレベル50のワタクシは思ったりするワケです。
さて。
「エロい」はそもそも褒め言葉ではないから、使い方に気をつけなはれや!
という話をする筈だったのが、ずいぶんとねじれてしまったようデス。
ただ、新語というのは「コトバの口中調味や~」っていう着地点に到達できたコトに満足して本日はこれまでにしとうゴザイマス。
今日も今日とて長々と駄文を連ねてしまいましたが、ココまでおつきあいいただいたコトに感謝を♡
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